「小さな夢を叶えるお手伝い」プロジェクトとは、「ご利用者様の、やってみたい、行ってみたい、食べてみたい」など、決して大きい夢でなくても小さい夢から実行することで、ご利用者様・家族様・職員・関わる全ての人にとって、価値ある想い出につなげるという想いで発足したプロジェクトです。
~想い出の場所と大好きな場所で少年に戻る なごみの家瓢箪山 編~
なごみの家瓢箪山にお住まいの85才の男性Tさんが、今回選ばれたご利用者様です。普段はお食事前に利用者の皆様へBOXティッシュを配布してくださる等、施設運営のお手伝いをしてくださる利用者様です。決してよく話すタイプではありませんが、心優しいTさんです。
Tさんにプロジェクトの説明をすると「石切神社に行きたい…」と夢を語りはじめてくれました。「子どもの頃におばあに連れて行ってもらって…」と参道を歩かれたことなど昔の想い出を、寂しそうな表情のなかにおばあ様との想い出を語る嬉しい気持ちを感じました。
「では、そこに行きましょう」とスタッフが言うと、Tさんは先程とは比べ物にならない笑顔になられました。「荒本の図書館で、書庫を自転車で回っているのも観てみたいんや~」と嬉しそうな表情でおっしゃられました。Tさんはいつも本を読んで過ごされていて本が大好きなんです。職員が調べてみると、なんと見学ツアーがあるじゃありませんか!!その事をTさんへお伝えすると、大変喜ばれていました。
Tさんの夢は「石切神社に行き、大好きな図書館でバックヤードの見学をする」という素敵な夢に決まりました。
夢のお手伝い日、2〜3日前までは「もう少しや~」と楽しみにされておられましたが、日が近づくと「大丈夫かな?体力持つかな~?」と不安げな様子になられておられたので、「大丈夫ですよ。私たちがサポートさせて頂きますから」とお声掛けさせて頂くと安心されておられました。(やっぱり不安と楽しみが混ざっているんやな~)と心のなかで思いました。
当日、気持ちの良い秋晴れで外出日和。(晴れてよかった〜)浮かれ気味のTさんは、まるで少年の様でした。スタッフに「行ってきます~」と元気に出発。
道中は電車で、風景の変わり様に驚かれており、時の過ぎるのを私たちも感じました。
石切神社に着くと歩きたいとおっしゃり、立ち上がると思い出を探されるように歩きだされていました。その姿は、おばあ様と来た時の子どもの頃の様に見えました。同行された妹様も喜びと同時に疲れがでないか?と心配するほどでした。参道では、何を買うのかな〜と思うと、紙風船を購入されていました(子どもに戻っている!!!)
次に図書館に向かいましたが、図書館の受付でハプニング発生!!!なんと見学ツアーの日程が変更になっていたのです!!(しまった、確認が出来てなかった!!)
ツアー担当者様にプロジェクトの趣旨を説明させていただくとご理解いただき、ご利用者様に喜んでもらえるならと、館長様自ら、Tさんだけのツアーを決行してくださることになりました。(神対応!!!)本当に感謝しか言葉が見つかりませんでした。
ツアーでは、書庫を走る自転車を見てTさんも「お~!!」もちろん同行スタッフも「お~!!」
年代物の本など数多くの本があり特有の匂いが漂っているなか、Tさんはまたしても少年の様な目の輝きで、素敵な時間と空間を過ごされていました。気になる本を見つけると、すぐに取り出し見ておられ、読み応えのあるぶ厚い本4冊!!薄い本3冊!!を借りられました。これには、妹様も「こんなに借りるの~?期限あるのにこんなに読めるの?」と少し困惑されておられましたが、スタッフの方から 「いつも借りて来るより少なめですし、お読みになるペースが早いので大丈夫ですよ。」とお答えすると、「そうなんですか~」と驚きを隠せないご様子でした。
あっという間に楽しい時間は過ぎ、帰宅となりました。Tさんは少し寂し気な表情でしたが本をたくさん持ち本当に童心に戻られて、凄く価値ある時間になったと感じています。もちろん、瓢箪山に帰ってからはすぐにお部屋で分厚い本を読み続ける日々です(笑)
今回のプロジェクト実行にあたりご協力下さった図書館職員の皆様、同行下さった妹様、数ある方の協力して頂ける中で本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
Tさんも体調崩される事無く元気に過ごされ 喜ぶお顔が見られた事は、プロジェクトの意味、ケアーズサポート・介護サービスしあわせサポートの理念である、ご利用者様の出来ることの発見。生きる力につながっていると実感しました。何よりもTさんの少年の様な目の輝きを見られた事で、本当に素晴らしい価値ある時間になったとうれしく思います。