ケアーズサポート株式会社

感染症対策研修

ノロウイルスの経験を活かす ケアーズサポートの感染症対策研修

ケアーズサポート株式会社の研修ルームには、全面にブルーシートが敷かれ、食事シーンを再現するためのテーブル・椅子が設置され、多くの備品が配置されています。

 

とある日のこと。研修ルームに各チームの主要メンバーが集まりはじめ、12時30分と同時に本部スタッフが「本日はお集まりいただきありがとうございます。4年前の…」と説明をはじめました。

この日は、実践を想定した感染症対策のシミュレーションを行う感染症対策研修、Aグループの開催日。できる限り多くのスタッフに研修を受けてもらうために数回に分けて研修を実施しました。

 

ケアーズサポート株式会社は5年前に、全87室の弊社施設でノロウイルスを経験しました。利用者様とスタッフ十数名に感染が確認されたものの、2次感染で食い止めることができ、幸いなことに重篤化した利用者様はいらっしゃいませんでした。保健所や保険者と幾度にわたってやり取りをしましたが、感染経路ははっきりとせず、約3週間で終焉を迎えました。

 

介護事業者は、感染症対策のマニュアル整備・定期的な研修が義務付けられています。もちろんケアーズサポート株式会社でも、マニュアルを作成し、定期的に研修を開催していたものの、いざノロウイルスを経験すると、机上で作成したマニュアルや研修は一切通用しなかったのが事実です。

 

実際にノロウイルスの感染が認められると、通常のオペレーションは全て変わります。館内のゾーン分け(感染エリア、非感染エリア)、消毒エリアや消毒方法の周知、館内感染拡大防止のための衛生備品の確保と配置、取引先事業者様やご家族様への各種の報告、食事の配膳、利用者様ごとの居室内での服薬管理、防護着や防護ツールの着脱など、数えはじめると切りがありません。

マニュアル作成の段階で想定していなかった問題が、ノロウイルス感染時の数日間は、毎日どころか、毎時間のように上がってきたことは今でも鮮明に記憶に残っています。また、毎日何度も衛生備品・消耗品を車で回って買い足し続けることも大きな負担になっていました。噴き出してくるさまざまな問題に対処しながら、リアルタイムでマニュアルを整備し直し、現在のマニュアルのベースが完成しました。

ケアーズサポート株式会社の感染症対策研修(実践を想定した感染症対策のシミュレーション)は、 この時のノロウイルスの経験から、より実践的なマニュアル・研修が必要であると考え直したことから毎年改定され、本格的なシミュレーション型研修へと切り替わりました。

 

研修ではまず、ノロウイルスはもちろんのこと、さまざまな感染症の特性の説明、館内で感染を拡大させないための方法の説明からはじまります。

4年前のノロウイルスの経験から、特に重要なのは館内で感染を拡大させないことです。このことから、ヘアキャップ・サージカルマスク・二重手袋・シューズカバーといった防護着の正しい脱着法のテストからスタートします。

研修受講者は皆、防護着の正しい着脱方法を説明した自社動画を何度も観てから参加していますが、テストをすると細かな部分で抜け漏れが生じます。

万全の体制で臨んだはずが…テスト前まではニコニコとしていた受講者の表情が真剣な顔つきに変わります。

1回目のテストで不備を指摘された受講者は、2回目のテストに移ります。防護着の着脱は汚染広げる可能性が非常に高いシーンなため、合格点が出されるまで続きます。各自が指摘された点をしっかりと修正して無事全員が合格!

 

防護着の着脱テストの次は、食事シーンでの嘔吐を想定した対策研修に進みます。研修受講生は利用者様・利用者様の直接対応を行う介護職員、感染を拡大させないための支援・対策を行うサポート介護職員の3つに役割を振ります。利用者様の研修受講者は当吐物に見立てた液体を自身の周りに撒きます。蛇足ですが、嘔吐物の飛散距離は2メートルにもなります。

 

利用者様の直接対応を行う介護職員が利用者様の容態確認に入ると同時に、サポート介護職員は感染を拡大させないためのエリア分け(感染エリア・非感染エリア)、塩素系漂白剤で消毒液を作り、汚染物を収めるためのゴミ箱を設置。その他感染拡大防止のための準備に大忙しながらも、感染症対策キット・マニュアルを確認しながら、着実に準備を進めます。

 

利用者様の直接対応を行う介護職員は、利用者様への容態確認・安全確保・衛生対応後、利用者様周辺の嘔吐物が乾燥して飛散しないように、周辺2メートルの汚染物処理を行います。防護着を着用しているものの、感染リスクが高いうえに、利用者様ご自身はもちろんのこと、その周辺2メートルを手早く消毒しなければならないので、結構大変な作業です。

床だけならまだしもテーブルの足、車いすの足回り、いざ消毒するとなると本当に大変です。利用者様への声かけをしながら、感染拡大の可能性の芽を限りなく早く摘む。そうこうしている間に備品が足りない・・・。さまざまなことが起こります。

各種の対応を終え、利用者様をご自身の居室まで、感染拡大防止に細心の注意を払いながら移動介助を行います。実はこの時が大切で、車いすのタイヤや利用者様の手指、靴に飛散した嘔吐物が残っていると、館内感染拡大の原因につながります。

 

一連のシミュレーションが終わると役割変更をします。休憩を挟んで全受講者が「利用者様」「利用者様の直接対応を行う介護職員」「感染を拡大させないための支援・対策を行うサポート介護職員」の3役を経験します。

 

あっという間に午後4時半、4時間にわたる感染症対策研修(実践を想定した感染症対策のシミュレーション)が終了しました。受講者・研修担当スタッフ共にお疲れさまでした。

 

新型コロナウイルスで世界が一変して約2年。ワクチン接種やさまざまな治療薬の開発も進み、ウイズコロナ・アフターコロナに少しずつ進もうとしていますが、介護を必要とされる高齢者の皆様、これを支える介護職員にとっては1年中、さまざまな感染症のリスクがゼロになることはありません。介護事業に携わる限り、これは続いていきます。

 

最後に。

感染症対策研修を行う度に5年前のノロウイルスの経験を鮮明に思い出します。本当に大変でした。一方、苦あれば喜びありです。当時は「子どもがいるスタッフは出勤を見合わせてください」と声をかけたものの、全てのスタッフが「利用者様がお困りになる」「ほかのスタッフのサポートをしたい」そういってくださり、全スタッフが休むことなく出勤してくださったことを思い出します。

また、「子どもがいるスタッフは残業せずに帰って」と伝えても、「普段は残業なしで仕事をさせてもらっています。こんな時くらいは協力させてください。子どもの面倒はおじいちゃんとおばあちゃんにお願いしています」と言ってくれたスタッフもいました。

 

ノロウイルスは本当に大変な想いをしましたが、思いやりと志の高いスタッフばかりであることに気づくこともできました。本当にありがたかったです。そして、このようなスタッフが所属してくれていることを誇りに感じます。

 

ケアーズサポート株式会社では、東大阪市にある東花園・瓢箪山・川田の住宅型有料老人ホームで一緒に働く仲間を募集しています。今回ご紹介した感染症対策研修のほかにも、さまざまな研修を実施しているため、仲間と切磋琢磨しながら成長していけます。ケアーズサポート株式会社の採用情報は以下をご覧ください。

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