ガーデンホームなごみ東花園では
入居者様が、施設の前で職員と一緒に施設で育てたお花を月に1度一般の方に販売をしています。お花の販売をする時、販売員となる入居者様は、一般のお客様方と楽しくコミュニケーションを取りながら販売する事を楽しんでおられます。
勿論なんらかの形で認知症をお持ちの方がほとんどなので、時には会話がかみ合わず職員がお手伝いをさせていただく事もあります。ですが、職員も普段のルーティンワークとは違った仕事で大いに販売のサポートを楽しんでいる様に見えます。
なぜこの様な取り組みを行っているのか?今回はその理由をお伝えさせていただきます。
多くの高齢者向けの施設がその形態やコンセプトを問わず単調な日々の繰り返しになりがちな日常に少しでも楽しみや喜びまた季節の変化等を感じてもらいたい…その思いで様々なイベントや取り組みを行っていると思います。
例えば
お誕生日会や敬老の日のお祝い
夏祭りにクリスマス会、お正月の初詣
ちょっとしたお出かけや小旅行
施設外での食事会・・・
また特別な事でなくても
毎日のラジオ体操や健康体操
簡単なレクリエーション・・・
頻度や規模は違ってもこの様な取り組みを
されている施設がほとんどではないでしょうか?
ガーデンホームなごみ東花園においても以前は同業他社様と同様にこの様な取り組みを行っておりました。ただその様な取り組みを繰り返すうちに職員の間で素朴な疑問が浮かんで来ました。
それは「人間にとって本当の楽しみとはなんだろう」と言う単純で純粋な疑問です。
高齢者だから、疾病をお持ちだから
日常生活に支障があるから・・
そんな理由や前提条件がもし無ければ・・・と考えた時に
「どんな時が楽しいのか」
「どんな時に充実感や達成感を感じるのか」
「どんな時に喜びを感じるのか」
そんな視点から考えた結果・・・
今まで多くの方の介護に携わった経験や自分達の体験から「本当の楽しみや充実感は自ら能動的に動いた時に最も体感できるのでは?」と言う仮説にたどり着きました。
振り返って考えてみると過去のイベントなどは、多少の入居者様の参加はあったとしてもそのほとんどが施設側、職員側が準備し所謂「お膳立て」を行って参加していただくと言う企画がほとんどであったと思います。
確かに入居者様は喜び、笑顔で「ありがとう」とおっしゃって下さいます。でもそれは【与えられた楽しみ】ではないでしょうか?【与えられた楽しみ】が本当の楽しみ・充実感なのでしょうか?
それ自体を否定するわけではないのですが、「それだけ」でいいのか?もっと本質的な「楽しみ・達成感」が得られるチャレンジをすべきでは?との結論にいたりました。同時に本質的な「楽しみ・達成感」を満たす為の項目を抽出してみました。
結果は以下の様になりました。
- 受動的でなく入居者様が能動的に関われるもの
- 出来れば毎日関われるもの
- 年間を通じて変化や季節を感じられるもの
- 新しいチャレンジである事(未経験のもの)
- 職員やご家族以外の方との繋がりを持てるもの
- 本人様だけでなく他の入居者様や職員、家族様も笑顔になれる取り組み
上記の項目を全て満たせる取り組みは何かを考え時間をかけて出した結論は、「利用者様が御自身で育てたお花を御自身で販売する」と言う取り組みです。
この取り組みの為に大きなお庭とフリースペースを整備しました。お庭の整備からプランターの設置についても職員と入居者様が一緒になって行い、日々の水やり等のお世話も入居者様ご自身で行っていただいております。皆様ご自身の育てているお花の成長が気になるご様子で悪天候日などは窓から心配そうに見つめられていたり、また天気の良い日はお庭にでて直接成長具合を確認されたりしています。
またそんな様子を見守る職員も自然と穏やかな気持ちになり笑顔がこぼれます。お庭の準備からお花を育てて実際に販売を行うまでに多くの時間と手間がかかりましたが携わった入居者様は勿論ですがお手伝いをさせていただいた職員も達成感や充実感を感じる事が出来るのもこの取り組みの副産物だと思います。
実は「利用者様が御自身で育てたお花を御自身で販売する」取組はまだ初期段階のスタートに過ぎません。
今後の目標はお花の販売計画や売上金の管理もPCやタブレットを使って入居者様御自身でやっていただく事、またお花のお世話も入居者様自身だけでなく販売したお客様、近隣の高齢者の方、ひきこもりがちな方や居場所のないお子様達など多くの地域の方を巻き込んで「利用者様が御自身で育てたお花を御自身で販売する」事をきっかけとした地域コミュニティの創設を目論んでいます。
これを達成する事で本質的な「楽しみ・達成感」を感じて頂けると信じています。
始まったばかりの取り組みで、今後は思い通りにいかない事や失敗もあると思いますが、目的を見失わずに長く続けて参ります。
興味のある方は是非一度お越しいただき、実際にご覧いただければと思います。