介護の仕事で必要不可欠な「おむつ交換」は、デリケートなケアのため心身ともに負担を感じている介護士は少なくありません。この記事では、おむつ交換を少しでもスムーズに行うための準備や対策方法についてご紹介します。
◉おむつ交換を負担だと感じる理由
介護施設では、1日のうちに幾度となくおむつ交換が発生します。利用者さまによって個人差はありますが、夜間を含めるとひとり5〜10回以上になることもあります。おむつ交換は非常にデリケートなケアのため、回数の多さが負担に感じられやすいです。
介護施設で生活をする利用者さまは、認知症を発症している方や身体の障害を持っている方など、さまざまな症状を抱えている要介護者の方がいらっしゃいます。寝たきりの利用者さまだと、おむつを交換する際に身体の向きを変えるなどの動作も発生するため、介護士の体力が求められます。寝たきりの方のおむつ交換を繰り返し行うことで、介護士の身体にも負担がかかり、腰痛の原因になってしまうケースも少なくありません。
自宅で介護をしている方は、夜間のおむつ交換がもっとも負担という声が多く聞かれます。排泄がうまくコントロールできないため、連日連夜繰り返し排泄介助を行っていると、介護者の十分な睡眠が確保できず、生活に悪影響を及ぼしてしまうことがあります。
また、おむつ交換をしてもらうことに「恥ずかしい」「情けない」という気持ちを抱えている利用者さまは多くいます。介護士は「利用者さまの自尊心を損なわないよう対応しなければいけない」と気負うために、精神的な負担を感じてしまうこともあるでしょう。
物理的な負担の原因は、排泄物自体の見た目や臭いの問題があげられます。見た目や臭いの点に関しては、長年介護士として働いていても慣れないという方が多いです。
◉おむつ交換の負担を軽減する方法
介護中のおむつ交換の負担を少しでも軽減するための方法をご紹介します。まず臭いについての対策ですが、おむつを交換する際には「窓をあけて換気をしておく」「空気清浄機を設置しておく」「消臭剤を置いておく」という3つの方法を実践しましょう。
このとき、なるべく介護施設の利用者さまに気付かれないよう自然な振る舞いのなかで行うのがポイントです。あからさまに空気清浄機のスイッチを入れたり、窓をあけたりすると、利用者さまの自尊心を傷つけてしまう可能性があるので慎重に行ってください。また、おむつ交換をする際は2重にマスクをする対応も良いでしょう。
おむつを変えた後の臭い対策については、あらかじめ用意しておいた新聞紙やチラシなどに包んだうえで、ビニール袋に入れて捨てましょう。それでも臭いが気になるときは、防臭効果が施された「おむつ専用の袋」を利用すると良いでしょう。
そのほか、1日の排泄回数や排泄の時間帯を記録することも大切です。あわせて、排泄の量やその日の水分摂取量も記録しておきましょう。介護施設の利用者さまひとりひとりの排泄状況を把握することで、ある程度おむつを交換する時間のパターンが掴めます。毎日決まった時間におむつ交換ができるよう体制を整えられると、気持ちの整理もつき、慌てずスムーズな対応ができます。
夜間に排便が多い利用者さまは、日中に浣腸等のケアを施すのもひとつの方法です。利用者さまにとっても、日中にすっきりと排便ができると良質な睡眠が取れるので、大きなメリットとなります。夜間の排泄が気になる場合は、寝る前の水分の量を加減するなどの工夫をしましょう。
◉おむつ交換をスムーズに行う手順
おむつ交換をする際は、介護施設利用者さまとのコミュニケーションを心がけましょう。交換する前や身体の位置を変える際には都度声かけをしてください。声かけをすることで、利用者さまも自然と身体を動かしてくれたり、おしりを浮かせてくれたりと、うまく連携が取れるのでスムーズな交換ができます。
おむつとパッドは利用者さまの足もとに用意しておきましょう。すぐに装着できるよう、あらかじめ開いた状態にしておくことがポイントです。また、おむつはギャザーまで立てておくとなお良いでしょう。ギャザーをしっかり立てることで尿漏れを防げますよ。
使用済みのおむつはすぐに捨てられるように、新聞紙や袋もあらかじめセッティングしておきましょう。手を拭く用の濡れタオルや付け替え用の手袋も手の届く場所に置いておけば、慌てずに交換できます。
おむつ交換の基本的な流れや詳しい手順は、ケアーズサポートのYouTubeチャンネル「2分で身に付く介護動画」にて配信中です。おむつ交換だけでなく、そのほかの排泄介助のポイントや身体に負担をかけない介助法など、さまざまな介護技術を短く分かりやすくまとめた動画があります。現在介護士として活躍している方はもちろん、介護職に就きたいと思っている方にとっても新しい知識を得られる動画となっています。
◉まとめ
介護士として働くなかで、おむつ交換を負担に感じるのは無理ありません。少しでも負担を減らすには、排泄のコントロールや交換前の準備がポイントとなります。臭い対策や利用者さまへの声かけも心がけながら、気負わずに実践してみましょう!東大阪市のケアーズサポートでは、未経験の方でも先輩介護士が丁寧に教えています。介護業界のお仕事を探している方は、ぜひ求人情報もご覧ください。